Rion Hiragi/Resercher/Storyteller

柊のメルマガ   ~No.88 風に向かって飛び立て 〜

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~No.88風に向かって飛び立て〜

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世界で初めて"有人飛行"実験に成功したのは、ライト兄弟ですよね。

でも、世界で初めて"プロペラ飛行"実験に成功したのは、

誰かご存知でしょうか?

 

それが今日ご紹介する日本人・二宮忠八(にのみやちゅうはち)です。

二宮はライト兄弟が飛行実験に成功する12年も前に

たった1人でプロペラ飛行実験を成功させました。

 

なのに、どうしてほとんどと言ってよいほど無名なのでしょう。

 

それは、軍の上層部などが二宮のアイディアを歯牙にもかけなかったので

有人飛行に必要なエンジンがなかなか手に入らなかったからです。

 

今回は、何度も試練に直面しつつ

「空を飛ぶ」目標に向っていった二宮忠八のお話をご紹介します。

 

二宮は、子供の頃から空や飛ぶものに興味があり

飛行機に本格的に取り組む前は

広告のビラをまいたりする奇抜な凧を作ったりしていました。

 

やがて21歳にった二宮は陸軍に志願します。

ある日、実践演習を終えて休憩をしていると

カラスが残飯めがけて滑空してくるのを目にします。

 

よく見ると、カラスがはばたくのは枝から離れた時だけ。

その後は翼を広げて滑る様に降りて来ます。

 

「翼をはばたかせず、風を受け止めれば飛べる」

そう事に気付いた二宮は

西洋人が血眼になって探していた航空力学の法則を

カラスを見ただけで発見してしまいました。

 

それから翼をしっかり固定し

推進力を生むプロペラを後部にとりつけ

カラス型飛行機模型を作りました。

 

そして、仕事で使っていた聴診器のゴム管をよじり

それが戻る力でプロペラを回すと

10m空を飛んだのです。

 

まだ世の中に、飛行機という言葉も概念もない頃です。

 

それから二宮は

たった1人で飛行機の制作に取りかかります。

誰にも理解されない、変人扱いされる

とても孤独なものでした。

 

28歳の時は有人飛行機の設計図も作りますが

人を乗せるには強力なエンジンが必要です。

 

しかし当時の二宮には発動機を買うお金がなく

軍を退役して薬品会社の営業マンとしてお金を貯めます。

(軍の上層部に何度も飛行機制作の上申書を出したものの

「外国でさえ飛ばした事がないのにできる訳がない」

 と却下されていました)

 

そして営業マンとしてめきめき頭角を現し

会社で大出世した二宮は

飛行機を組み立てるため家を買ったり

人生の時間もお金も全て捧げて飛行機作りに打ち込みました。

 

そして両翼9m、鉄製の骨組みが機体をしっかり支え

あとはエンジンさえ搭載すれば人が飛ぶ!という段階まで来た時

新聞を読んだ二宮は地獄の底に突き落とされます。

 

ライト兄弟が、37mの飛行に成功したという記事が掲載されていたのです。

 

ライト兄弟や二宮の他にも

空を飛びたいという願いは人類共通で

ドイツのリリエンタール

アメリカのラングレー

イギリスのヘンリー・ファーマン

フランスのブレリオ・フェルベ

といった人達が、懸命に夢を追いかけていました。

 

「もしあの時、軍が自分の研究をサポートしてくれていたら」

「自分に十分な資金があったら」

 

世界で初めて空を飛んだのは、自分であったはず。

 

目標を打ち砕かれた二宮は、

完成間近な飛行機をたたき壊してしまいます。

 

しばらくは何も手につかない日々が続いたそうですが

晩年、飛行機事故のニュースを見るにつけ心を痛めていた彼は

空の犠牲者を弔うために私財を投じて「飛行神社」を作りました。

 

そして彼の功績も、多くの人によって

後世に語り継がれる事になったのです。

 

うまく行かない時

頑張ったのに思うような成果が得られなくて落ち込んだ時

私は二宮の人生を思い返します。

 

彼と比べて自分は何の努力をしてきたのか。

超えられない壁を超えようとしているのか。

 

全てがうまく行く事は、確かにラクで幸せな事かもしれません。

でもそれは、自然の摂理に反すると思うのです。

 

追い風では、飛べません。

 

投げた石が川面をはねるのも

水の抵抗と、その時生まれる波が風を生んで上に上がるのです。

 

だから、自分の正面に風が吹き付けてきた時

背を向けるのではなく、前に一歩踏み出してみましょう。

 

そしたら、今よりもっともっと高く飛べるはずです。

 

 

 

[参照] 二宮忠八・伝 生駒忠一郎  KTC中央出版

 

 

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編集後記:

 

先日、オープンしたての「ららぽーと海老名」に行ってみました。

前日にアド街ック天国で紹介されていたので

すごく混んでるだろうなと思ったら、やっぱり混んでました ^ ^;

個人的にはフードコートで利休の牛タンが食べられるのが嬉しいです。

ここのフードコートは、客単価が1500円くらいかと思います。

色んな意味で上手だと思いました()