前回のメルマガでは
「個人に対するイメージ」のレッテルを外さないと
その人の本質を見失う、というお話をしました。
今回は、「住んでいる地域」という
属性のレッテルを外してみましょう。
「住む場所」は差別の元にもなる大きなバイアスですので
しっかりと理解しましょう。
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想像してみて下さい。
あなたは車椅子に乗っています。
体は麻痺しているので思う様に動かせません。
この状態でホームレスがたくさんいて
道を歩けばドラッグしている人にぶつかり
犯罪や売春が横行している町に放り出されたら
どんな目に遭うでしょう?
カナダ・ブリティッシュコロンビア州の警察官ホースリーさんは
実際にこの状態で何が起こるか実験してみました。
最近車椅子に乗っている人が
窃盗などの被害に遭う事件があったので
自らが「おとり捜査」して
犯人を捕まえる事にしたのです。
場所は、治安が悪い事で有名な
バンクーバー市中心街のイーストサイドです。
ここでホースリーさんは
脳手術で体が麻痺し車椅子に乗っている「フリ」をして
捜査を行いました。
しかしそこで彼は、予想とは全く逆の経験をします。
まず
街の住民はすぐにホースリーさんを
自分たちの一員として受け入れてくれました。
ケベックから来たという男性は
ホースリーさんの許可をもらってから
ホースリーさんのために真剣に祈りを捧げてくれました。
また若い男性は
ホースリーさんのカメラを見たので盗むかと思ったのですが
そうではなくウエストポーチから出ていたお金を気にかけ
「取られない様にね」といってチャックを閉めてくれました。
また今回のおとり捜査で
ホースリーさんは「自分は後遺症で数が数えられない」
という設定を演じていました。
街ではホースリーさんのお金を物などと交換するのですが
誰一人としてお金をごまかしませんでした。
ある女性は「5ドル両替して」と頼んで来たのですが
ホースリーさんからぴったりの金額を取りました。
実は5日間の捜査中
彼のお金は初日より24ドル75セント増えていたのです。
また夜中に
飲み屋街の道で一緒に話していた若い男性は
タバコをふかしながら75セント施しをくれました。
この街の人は
弱い人を卑しめるどころか
優しさと思いやりに溢れていたのです。
「おとり捜査」としては
悪い人を捕まえられなかったので失敗だったのですが
ホースリーさんは
「この街を全く違う角度から見る事ができた。
社会的弱者を酷い目に遭わす人は警察が見張っているが
それ以前にこの街の人が見張っているという事を忘れてはならない」
と語っています。
身なりが立派な人、学歴が高い人、一流企業に入っていれば
「信頼できる人」「良い人」に見えてしまうのも一種のバイアスです。
しかし人の本質は
「自分より弱い人を目の当たりにした時、どんな行動を取れるのか」
で決まってくるのではないでしょうか。
動画は下記You Tubeからもご覧になれます。
https://youtu.be/clNDUoxzSIc
参照:
http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/undercover-vancouver-police-officer-mark-horsley-uncovers-kindness-in-downtown-eastside-1.3155360
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編集後記:
この所日本史に”更に”凝っていて
「甲陽軍鑑」や「完訳フロイス日本史」を読んでいます。
これがすぐ何の本か分かる方
きっと私といいお友達になれます ^ ^
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