必要な時は「上司に意見する」という
フォロワーシップは
"言うは易し行うは難し"
という概念だと思います。
別に日本に限った事ではなく
自分の意見を主張してナンボと思われがちな
米国でもそうです。
この本は昨年12月に買ったものですが
『ザ・フォロワーシップ―上司を動かす賢い部下の教科書』
http://p.tl/GNYJ
私にしては珍しく
なかなか読み進める事ができず。。。
何でかというと
私も書いてある内容は多いに賛成なのですが
机上の空論になりがちな事が書いてある
というのが正直な感想です。
まず、上司が道に逸れそうになった時に意見したり
会社の不正を正す声を上げるには
その意見を向ける相手との間に
「絶対的な信頼関係」を築いておかねばならず
上司が「部下の意見を聞く耳をもっている」
というのが必須条件です。
また大抵上司の方が権力を持っていますから
その「権力に抗しないだけのサポートを
部下が有している」必要があります。
条件が揃わない所でフォロワーシップを発揮しても
おそらく握りつぶされます。
米のエンロン社の不正会計事件などが
良い例です。
また最近日本でも話題になった
ミスユニバースの方が芸能関係の人から
ストーカー被害や脅迫を受けていたのを
全く日本のマスコミが報道しないのも
その一例でしょう。
本の中では、権力に屈しないため
第三者的なオンブズマンを通すという案も出ていますが
そこまで条件が整っている会社は稀かと思います。
権力が間違っていても
残念ながら
力があればそれは正義になってしまいます。
組織の中の行動強度分布を見てみると
どの組織でも
両極付近に全体の2.5%
さらに両極には全体の0.2%が収まるそうです。
つまり、どんな組織にも
聖人のような人と極悪人が必ず存在しています。
今中国の史記を読んでいるのですけれど
中国史は、聖人と極悪人が
交互に権力の中枢に君臨しているようです。
前210年頃、始皇帝が崩御した後
秦の傀儡政権を牛耳ったチョウコウは
皇帝に鹿を献上して
「これは馬だよな」
と周囲に確認し
「馬です」「いや、鹿です」
と言った人達の中で、鹿といった部下を皆殺しにしたとか。
(故事の「鹿と言いて馬と為す」の元になっているそうです)
今ではさすがに命を賭すという事まではないかと思いますが
条件が整わない限り、
フォロワーシップは機能しないというのが
私の個人的な見解です。
じゃ条件が整わない場合
どうすればいいのかといえば
自分がその上司や組織の元で働くという選択をしている限り
うまく周りと同調するしかないのではと思います。
それが嫌なら、頑張らないで組織を去るのが
精神衛生上一番かと。
力のある人にぶつかるというのは、
いつの時代でも難しいものですね
松下幸之助氏のように
「賛成意見を聴いても意味がない」
という経営者がどこの組織でもトップにいれば
部下もフォロワーシップを発揮できるのですけどね。
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